スピーカーシュミレーター/ Speaker Simulator について

スピーカーエミュレーターについては、何度か過去にご紹介したとは思います~ が。。。なかなかどういった仕組みなのかご紹介できずじまいでしたので、今日はいよいよそのご紹介をこちらAMT Electronics社の「 「The Guitar Speaker Simulator by Victor Kampf」」からしてみます♪

スピーカーエミュレーターの回路自体はシンプルなんですが、回路がかなり複雑な特徴を持っていましてそこが面白く、また誰もが簡単によいスピーカーエミュレーターを作れない理由にもなっています。ということで、ちょっと回路を見てみたいとは思いますが、その前にまずあるエミュレーター回路の周波数特性をちょっと見てみます。

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このエミュレーターの周波数を見ただけでは何ともコメントできませんよね?なのでこういう説明はどうでしょう、実は皆さんもよくご存知のCelestion Vintage30スピーカーをエミュレートしたものでして下記のような実際のCelestion Vintage30スピーカーの周波数特性と較べて見ますと、①130Hz付近のコブと、②4KHz以下での急峻な落ち込みと、またまた③7KHz付近のノッチという感じで、上手くエミュレートできていることが分かります。

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じゃあ、その回路は?ということで早く見せろ?と聞こえてくる前にお見せします♪各ステージは極端にシンプルっていうことははっきりと分かりますが、これで全ての必要な機能が実現できています。この回路はトランジスタを用いて直流のモードが自動的に3~6V以内になるように設定されています。

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第1ステージ
第1ステージはトランジスタ(T1)の電流シンク初期値と同じ電流で自己バイアス駆動するよう絶えず維持させる回路になっています。ここは入力インピーダンス(~1MΩ)が高いため、マッチングが合っているので高いインピーダンス信号源に直接シミュレーターを接続することができるようになっています。 もう少しこの回路を見てみますと、例えば低域のレスポンスは下記の2つのフィルターにより決まります。

  • パッシブな1次ハイパスフィルター(C6)
  • 入力インピーダンスステージ(トランジスタT3T1)

以上の2つのフィルターにより、低域は6db/octで低下していきます(6dB/octというのは、octave(周波数が倍になる)毎に6dB低下するという意)。

第2ステージ
トランジスタ(T2)の2次ハイパスは①130~140Hzに「共振コブ」を作りまして、これがあまり教えたくないのですがギター用のCelestionの大事な特性になっています。(つまり、130~140Hzに「共振コブ」を作ればCelestionっぽい、もっというとMarshallっぽい特徴が出ます、大事なノウハウ言っちゃった♪)

5kHz以上のプレゼンス域は、抵抗R6とキャパシタC5による1次のLFパッシブフィルターで抑え込みます。また、スピーカー信号の中で500Hz以上の周波数は、(真空管アンプに繋いでいる間に)スピーカーの誘導抵抗が成長するため僅かに増すんですが、これをキャパシタC7と抵抗R12によりエミュレートしています。

第3ステージ
トランジスタ(T3)では、4kHzの少し弱いんですがそれでもはっきりとした「擬似的な共振コブ」を、コモン電源を用いて回路を切り替えながらローパスフィルターが出すように振舞います。さらに②4kHz以上では14dB/octで減衰していきます(14dB/octというのは、octave(周波数が倍になる)毎に14dB低下するという意)。

トランジスタ(T3)の電源はT3を介して直接グランドへと接続されており、その結果ネガティブフィードバックによる非線形の部分的なオフセットを持ったまま第3ステージはスイッチング動作することになります。

その一方で、このような非線形なオフセットありのスイッチング動作は、より低域の帯域の倍音を発生させることで低域の厚みを増すことができるため、低域の減衰が意図せずに補償されてしまうのを防いでくれます。

他方で、これはこのステージの「共振」特性を和らげてくれるため、より自然なサウンドにできるようです。ちなみに、このフィルタのカットオフ周波数は抵抗R14で調節できます。

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第4ステージ
トランジスタ(T4)によるノッチフィルターは直接前段のステージに接続され、③周波数6~8kHzの周波数に追加のノッチを作るように設計されています。これにより今度はフィルターされた信号に残った高域を和らげる働きをしていて、抵抗R18によりそのノッチを調節するようです。


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以上がスピーカーエミュレーター回路の中身でして、低電圧用のnチャンネルFET(IDSS = 0.4~0.6mA)がT1-T4として使えます。どうでしたか?結論としては、エフェクターよりは簡単ですがシンプルなフィルターを多数組み合わせて自分の欲しい周波数特性を設計していくんです

が、その組み合わせがほぼ無限にあるところが、「スピーカーエミュレーターの回路自体はシンプルなんですが、回路がかなり複雑な特徴を持っていましてそこが面白く、また誰もが簡単によいスピーカーエミュレーターを作れない理由」になっています、ちゃんちゃん♪

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