'60年代のヴィンテージアンプ Blonde Fender Band-Masterをオーバーホールしてみた♪

「'60年代のヴィンテージアンプ Blonde Fender Band-Masterをオーバーホールしてみた♪」と言っても私自身がやった内容ではないですので、それを期待されていたらこの記事は読み飛ばしてください。



しかーし、きっと後悔するかもしれませんよ、それもそのはず、いつものPremium Guitarさんの記事「Sprucing up a '60s Blonde Fender Band-Master」で、ショップ「Schroeder Guitar Repair」さんがそのオーバーホールした貴重な内容を紹介しているからです。読んで絶対に損はないと信じて日本の皆さまにもご紹介します♪(実際私も英文ですが読んで得るところが色々ありました。)

ギターアンプ修理、および改造ってどうしてます?(1)

世の中には色々と良さげなギターアンプは多いですが、我々のショップ「Schroeder Guitar Repair」にも、道に落ちていて拾ってきたようなものから数百万円もするブティックアンプまで色々ですが、まずやはり古いものが多いです。なかでも、ことヴィンテージアンプに関しては、かなりしばしば、安全に正しく機能させるためのオーバーホールが必要だったります。

で、表題にありました60年代初期の blonde Fender Band-Masterもやはりそのようなアンプでして、非常に美しく卓越したトーンなんですが、 そのアンプの実力をフルに活かしてあげるためにはそれなりのメンテナンスが必要でした。

まずざっと調べるべきこと
まず、ヴィンテージアンプ達がショップに来ますとやらなければならないこと! 何でしょうか?ちょっと考えて見て下さい。スイッチを一瞬でも入れて電源が入るか確かめる?本当ですか?我々はやるべきこととして、

1)まず電源を入れる前にまず電源コードが本当に使用して大丈夫かざっと確認します。
2)フューズが飛んでいないか?確認します。
3)電解コンデンサ(electrolytic capacitor)の状態はどうかを確認します。

このFender Band-Masterの状態としては、まず電解コンデンサが膨れ上がり液が漏れた瀕死の状態でしたので、これをまず交換するしか手だてがない状態でした。



電解コンデンサはアンプの中でも非常に重要なコンポーネントでして、非常に高い電圧を扱う部分でもありまして、交流電流の出力リップルをフィルタしているところです。この電解コンデンサがくたびれてきますと、まずアンプはノイズやハムが間違いなく増え、場合によっては本来は聞こえてこないはずの音の成分まで出てきたり、パンチやローエンドがはっきりと分かる位に欠落してきます。さらに重要なこととして電解コンデンサは生ものでして寿命がありまして、一般的に言われることは大体15年位が寿命と、あるいはパフォーマンス的に遜色のない無難な年月とされていることです。

このBand-Masterのフィルタ用コンデンサは、まあほぼ大抵のFenderアンプでそうなんですが、シャーシの真空管側にあるパンカバーの下にあります。丁度下の写真のように、フィルタ用コンデンサとそれに対応した抵抗があることが分かると思います。フィルタでも初段のフィルタ用コンデンサは20uf/550VDCを2個並列に接続していて、実際には40uf/550VDCとして(スタンバイSWに繋がって)使用されていました。

ということで、いっそのこと(より確実にフィルタでき、過剰でない程度に)より大きなコンデンサを使ってみようということで、100uf/350VDCを2個チョイスし、さらにバイパス用抵抗220kを使ってコンデンサを直列に接続して50uf/700VDCとしました。このシンプルな改造/MODは電源供給側の初段に若干の余裕を持たせることで、高電圧を扱う能力を改善しています。さらに、高品位のコンデンサを使うことも重要で、アンプの生死に関るコンポーネントを扱う時には絶対にケチケチせずにドーン!と太っ腹でいいものを選んで損はないです。


問題があったオリジナルの液漏れコンデンサ(左)と交換済みの新しいコンデンサ(右)

チェックとクリーニング
アンプのチェックとクリーニングを進めるに当たって、まず半田付けの箇所を1つ1つテストしていきまして、必要に応じて再度半田付けし直し、配線を確認し、ジャックやポットを接点復活剤などでクリーニングし、しっかり締め付け直します。またどうしても年月とともにグラグラしがちな真空管ソケットも締め付け直します。

電解コンデンサ以外では、やはりその他のキャパシターも正常に機能しているかテストしますが、電解コンデンサ以外は一般的に非常に長い寿命なのでまあ大体はチェックして問題ないことの確認だけになります。さらに全てのナット、ネジもよく締め直しまして、フューズも正常な数値のものか確認します。あれれ?じゃあもうチェックする箇所はなさそうなんじゃ?

いえいえ、実は抵抗っていうのが次にチェックしないといけないコンポーネントになっていまして、多くの抵抗がカーボン抵抗ですので年月とともにこちらもノイズの原因となってきます。運良く、この Band-Masterはテスト結果も良かったのですので何もしませんでしたが、1点気になるとすればパワー管のスクリーングリッド用抵抗が逝き易いのですがそれは許容の範囲なので今回はOKとしました。


真空管ソケット、ポット、真空管のクリーニングと締め付け直し

ACケーブル
チェックとクリーニングを終えてみて初めてACケーブルがかなり酷いことが分かり、これも対策する必要があった。ヴィンテージアンプに共通の傾向なんですが、やはりこのBand-Masterの2極電源ケーブルにも亀裂が入っていました。アンプにとっては、やはりよい音で、しかも最も重要なのは安全に動作するためにもここはキチンと対策すべきという理由からです。Band-MasterのACケーブルはグランドSWに繋がっていて、それがメインフューズを通って電源トランスファーへ行きます。一方、交換用のケーブルはシャーシにグランドされていて、(安全の為)電源ケーブルのホット側の配線が直列にメインフューズに繋がりグランドSWはバイパスされる構造になっています。電源ケーブルの中間側配線は直接電源トランスファーへ繋がっています。

火入れとアンプの電圧とキャパシタのテスト
ACケーブルを問題ないよう対策した後は、必要に応じて抵抗、キャパシターを交換し、兎に角一通り調べられるものを調べますと次は火入れです。火入れといいましても、アンプに火のついたマッチを投げ込むのではなく、一般的に電源を入れて真空管のヒーターを暖める儀式をこう言います。但し、現時点では真空管は挿さずに火入れをします。そして、まず各箇所の電圧のテストを行っていきます。アンプをONして、電圧のテストをする場合には、徐々にバリアックにて電圧を上げるようにできれば、電解コンデンサ内の電解が正常に進むためには非常によいと思います。(もう少し具体的にいうと、電解コンデンサでは電圧を掛けることにより電解が進むことで絶縁皮膜が形成され、これがコンデンサとしての働きを担っておりまして、逆に言うと、厳密に言うと一気に電圧を掛けると電解コンデンサー内で質の良い絶縁皮膜が均一に形成されないことになる。)

まあ、全ての電圧が正常値であれば、今度は一旦電源を落とし暫らく待ってから真空管ピンをクリーニングして、真空管を全て挿します。そして再度電圧をテストします。パワー管のバイアスもチェックして必要ならバイアス調節します。

無事終わったことには、またこのヴィンテージアンプもその当時に鳴ってたであろうよい音を奏でてくれています。この blonde Band-Masterもオーバーホールすることで本来持っていた、設計された通りの能力が正しく引き出されています。非常に美しく、パンチのあるクリーントーン、さらにはここか肝心、より安全に安心して何十年もこの先鳴ってくれる状態に戻っています。

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